KARAO's Web Special
「レコード会社の儲け方」
〜今儲かっているレコード会社とその儲け方、グラフで教えます!〜
2002/05/04掲載

「売れなくなった」と言われるCDですが、その中でもしっかりと売上をはじきだすレコード会社もたくさんあります。今回は、2001年10月から2002年3月までの半年間のシングル・アルバム売上総額をもとにはじき出した「2002年プレ上半期Active maker」の結果から、今儲かっているレコード会社とその儲け方をグラフでまとめてみました。レコード会社ごとにさまざまな特徴がでていることが、読みとれることでしょう。
◆ メーカー別シェアトップはエイベックスの14.7%、上位6社で市場の半数占める
過去半年のデータから集計した「2002年プレ上半期Active maker」の結果をまとめたものが上のグラフです。音楽業界のシェアトップとなったのは、エイベックス・トラックスの14.7%。2位の東芝EMIとあわせると「2強が市場全体の4分の1」を占めていることが分かります。また、6位のユニバーサルミュージックまでをあわせると市場シェアは50%を突破。一部のレコード会社が飛び抜けている傾向が伺えます。

ちなみに、この集計での基準は、基本的に「商品コード」に基づいて分類がされており、レコード会社の勢力分布になっていないことに注意して下さい。特に、レーベルを多数抱えるソニーミュージックエンタテインメントの勢いは現れにくくなっています。

1位のエイベックス・トラックスは、rhythm zone(22位)、カッティング・エッジ(24位)、SONIC GROOVE(43位)、Rhythmedia Tribe(46位)などのレーベルをあわせたトータルシェアは16.7%。

対するソニーは、4位のDefSTAR RECORDSを筆頭に、ソニーレコード(9位)、ソニー・ミュージックジャパン インターナショナル(11位)、キューンレコード(12位)、エピックレコード(18位)、アンティノスレコード(23位)、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ(25位)、ソニーミュージックハウス(33位)など、トータルシェアは19.4%。法人(グループ別)で集計すると、首位はソニーグループとなります。

さて、それでは上位メーカーがどのように儲けているのか、市場シェアが5%以上のメーカーに絞って細かく見ていきたいと思います。
【1位】エイベックス・トラックス
稼ぎ頭の浜崎あゆみは売上全体の38.6%、その他目立ったアーティストは不在で今後は伸び悩む?
メーカーランキングトップは、エイベックス・トラックスがやはり首位を死守する結果になりました。売上総額は242.3億円と、メーカー・レーベル単位では唯一200億円を突破。レコード会社界の雄と言っても言い過ぎではないでしょう。

エイベックスの売上の原動力となっているのが浜崎あゆみ。彼女の売上、94.8億円は同社の売上の38.6%を占めており、よく言えば「少数精鋭」、悪く言えば「あゆに依存」していることが改めて浮き彫りになりました。メーカー内シェアで2位のDo As Infinity(10.3%)はベストアルバム「Do The Best」のヒット、3位のEvery Little Thing(8.3%)はバラードベスト「Every Ballad Songs」のヒットと、いずれも企画盤が貢献したことが要因。今期以降は、成長著しいBoA(7.4%)に期待がかかるが、その他目立ったアーティストがいないのが若干不安。

ちなみに、移籍したMISIAはリズメディア、元SPEEDのhiroなどはSONIC GROOVEという別レーベル集計になっています。
【2位】東芝EMI
宇多田ヒカル以外でも稼げることを証明、安定さ誇る
2位は東芝EMIで、市場シェアは10.7%。1割以上を握っているのはエイベックスと東芝EMIの2社(会社単位で見るとソニーもそうですが、ソニーはレーベルが細分化されているためそうはならない)ということになります。

東芝EMIといえば宇多田ヒカル、と連想されますが、意外や意外彼女のメーカー内シェアは8.9%で5位。この半年間はシングル「光」「traveling」しか発売されていないことでこのポジションとなりました

今期の東芝EMIの稼ぎ頭は、ユーミンの14.6%。「sweet,bitter sweet〜YUMING BALLAD BEST」が90万枚近いセールスと成功を収めたことが大きい。またファン層を確保している女性ソロ、矢井田瞳(13.4%)と鬼束ちひろ(10.2%)がアルバムを発売したことも貢献。さらにBOOWY(9.2%)のリバイバルヒットも見逃せません。新旧アーティストがバランスよく売れての2位となりました。
【3位】ワーナーミュージック・ジャパン
エンヤ系と洋楽企画盤が当たりに当たったワーナー、ヒップホップブームも
3位に躍り出たのはワーナー。ワーナーの特徴は「エンヤ系」「洋楽企画盤」「HIP HOP」の3つにまとめることができます。

1つ目のエンヤ系は、「フォー・ラヴァーズ〜『冷静と情熱のあいだ』テーマ曲集」や「A Day Without Rain」など、エンヤ(26.3%)関係の作品が非常に好調という点。

2つ目の洋楽企画盤は「MOVIE HITS」「Love Lights 2」「SWITCH」がヒット、HIP HOPの「REALRHYME TRAX」など、全ての企画盤をあわせて全体の18.2%という高いシェアを占めています。

そして最後のHIP HOPでは、Steady&Co.(19.7%)やRIP SLYME(0.9%)が頑張りました。
【4位】DefSTAR RECORDS
CHEMISTRYが大きな柱のDefSTAR、Tommy february6の「イレギュラー」ヒットも目立つ
4位はソニーグループの1つ、DefSTAR RECORDS。2001年1月に設立されたばかりの会社がわずか1年で上位に食い込めた最大の要因はCHEMISTRYの大ヒット。1stアルバム「The Way We Are」はプレ上半期ランキングで浜崎あゆみを差し置いて首位に。シングル「You Go Your Way」も50万枚を超えており、彼らあってのDefSTARと言えるだろう。

ただ、the brilliant greenのボーカル、川瀬智子のソロプロジェクト「Tommy february6」も、1stアルバムが65万枚を超えるヒットにつながっていることも大きい。 メンバーとしてのthe brilliant greenの活動や、平井堅も売上が期待できるし、キングギドラの復活も加わることで、今期以降の「成功の要素」が詰まったメーカーの1つでしょう。
【5位】ビクターエンタテインメント
LOVE PSYCHEDELICO、Dragon Ash、桑田佳祐の3本柱を確立
5位のビクターエンタテインメントでの筆頭アーティストはLOVE PSYCHEDELICO。メーカー内シェアが4分の1近くになったのは、70万枚を超えるヒットとなった2ndアルバム「LOVE PSYCHEDELICO ORCHESTRA」によるもの。

Dragon Ashは「FANTASISTA」「Life goes on」、桑田佳祐は「波乗りジョニー」「白い恋人達」と、メインとなる売上は全てシングルから発生しており、この2アーティストがアルバムをリリースした際はシェアがアップするのは確実。全くタイプの違う3アーティストが基軸になっており、安定感がある。
【6位】ユニバーサルミュージック
小澤征爾様々?クラシック作品がブームとなりシェア急伸
6位のユニバーサルミュージックは何と言っても小澤征爾&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団「NEW YEAR'S CONCERT 2002」のブームが非常に貢献しました。クラシック作品ながら50万枚を突破する、極めて異例なヒットに恵まれたことがシェア急伸の原動力となりました。

また、企画盤も「WOMAN」シリーズに加え「DISCO FEVER」シリーズ、「I LOVE R&B」や「I LOVE HIP HOP」などの「I LOVE」系がいずれも好調でした。TOKIOの移籍もプラスに働いているようです。
【7位】トイズファクトリー
ミスチルとマイラバの2組で全体の半分、EE JUMPの脱退騒動が与える影響は…
7位のトイズファクトリーは、シングル「君が好き」「youthful days」で120万枚を売り上げたMr.Childrenが筆頭という結果に。2位のMY LITTLE LOVERはベストアルバム「Singles」によるものとなります。

ちなみに、ユウキが脱退したEE JUMPが占める割合は1.6%(EE JUMP featuringソニン 含む)なので、今回の脱退騒動の売上への影響はそんなに大きくないのかも。ただし、ベスト盤のリリースが予定されていて既にプロモーションも始まっていたことを考えると、それが中止になったことは痛いでしょう。
【番外編】ソニーグループ
CHEMISTRYが引っ張るソニーグループ、Tommy february6効果が見込めない今期は…?
最後に、法人(グループ別)で首位となっているソニーグループについて見ていきましょう。とはいうものの、グラフを見るとDefSTAR RECORDS所属のCHEMISTRYとTommy february6がグループ全体の40%以上をまかなっていることが判明。

CHEMISTRYは、アルバムリリース後シングルがほとんど出ていないためアルバムリリースは難しいでしょうし、Tommy february6はアルバムリリースで活動に一区切りをつけたのでこちらも売上は見込めません。

今期以降で大きな数字が出せそうなのは、リリースが予想される中島美嘉や元ちとせの1stアルバムあたり。シェア5.0%のhydeがラルクとしての活動を行うという可能性もあるかも。こちらは、数字が出るか出ないかは未知数ですが。
上記内容はすべて掲載時点でのものです。
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