シングルコレクションやベストアルバム、さらにコンピレーションアルバムなど、CDを購入する側にとっては非常にお得な作品が最近のアルバムランキングをにぎわしています。 そこで、そんなベスト盤の「いま」と「つぎ」をチェックしていくことにしましょう！

＊今回の特集では、いわゆる「シングルコレクション」も含む形で「ベスト盤」と表記しております。

とにかく目立つようになったベスト盤ですが、実際のところどれだけ売れているのでしょうか。そんな素朴な疑問をチェックするため、まずはカラオのデータを集計してみました。

上の表は1999年以降の「年間アルバムランキングBest200」にランクインしたベスト盤とコンピレーション盤の作品数です。2001年については6月10日までのデータをもとに集計しています。

ちなみに「コンピレーション作品」とは、「image」や「〜the most relaxing〜feel」などのように、過去の複数の作品を集めたCDのことで、ベスト盤とは異なるものの、ヒット曲が集まっているという点では「お得」感が全面に出ているので、あわせて見ていきたいと思います。

上位200作品では、ベスト盤が40作品前後、またコンピ盤が30作程度それぞれランクインしているようです。去年の後半あたりからドーッと発売されたような気がしていたの、ちょっと意外でした。

そこであらためてデータを分析してみることに。作品数ではよく分からないので今度は「売上枚数」で見てみました。

すると「そうか！」といった結果が。1999年には23.4％だったベスト盤の割合が昨年は28.8％に、そして今年は現時点で34.4％と急上昇していました。上位200作品に限ってみれば、セールス全体の「3枚に1枚」がベスト盤ということになります。

一方の「コンピ盤」はここ3年に関してはそれほど変動がありません。裏を返せば、ベスト盤がそれだけ異様に「増殖」したということでしょう。 アルバムセールス全体で、ベスト盤とコンピ盤をあわせると、1999年の30.9％から今年は42.6％に。下手をすると「2枚に1枚はベスト盤かコンピ盤」といったとんでもないことが起きそう。

本来「オリジナル盤」の補助的に作られていた物がメインになる日も近いかも…

年を追うごとに発売枚数が増えているベストアルバム。確かに「お得」ではあるものの、リスナーはどう思っているのでしょうか。
メールマガジン上で「ベスト盤」について読者の皆様にお願いしたコメントの中から、いくつか代表的なものを見ていきましょう。

＞ベストアルバムってまとまりがないので嫌いです。
（harahiro さん）

やはり、という意見がこれ。「コンセプトのもと、アルバム全体で1つの作品に仕上げている」オリジナル盤のよさがないのは、ベスト盤の宿命でしょうね。

＞ベストはそのアーティストが引退するときにだけ出してほしいなと考えます。
＞そのアーティストの集大成としてのベストなら、その人に敬意を表す意味で何
＞の迷いもなく買えると思うからです。
＞（中略）
＞Mr.Childrenもベストを出すそうですけど、正直やりすぎですね。（鹿田 さん）

卒業や解散、×周年記念、またレコード会社の移籍や活動再開に向けてのリードとして、などなど何らかの意味合いがベスト盤に込められている場合、比較的受け入れられやすいよう。
逆にそういうものがないと「レコード会社が儲けるため」という部分が全面に出てきてしまうようです。

＞カラオケに行ったとき若い連中のウケをねらって最近の曲を練習するのにちょ
＞うどいい。それも1,2曲でなくより多く知っていればそれなりにウケる。
＞（炬燵猫 さん）

＞ベストアルバムってちょっと好きって程度のアーティストのを買うにはいいん
＞じゃないかと思います。私はずいぶん前になるのですが寺岡呼人さんの
＞LOVE/LIFE というベストを買いました。「真夏の虹」っていう曲が好きで聞き
＞たかったんだけど他の歌はあまり知らなかったんです。
＞でも全曲すごく良くて今では寺岡呼人さんの大ファンです。
＞ベストってやっぱりいい曲ばっかり入ってるから、今までCDを買う程に好きで
＞はないアーティストのでもハズレはないと思います
＞ベストがきっかけで大好きになる可能性もありますしね（yappo さん）

ベストアルバムは、普段はCDを買うまでには至らないユーザーを掘り起こすには最適のアイテムなんでしょうね。

さてさて、次回は「ベスト盤」とシングルの意外な関係について見ていくことにしましょう。